【協力ホラー】『R.E.P.O』レビュー|荷物運びが命がけ!?

目次
概要
『R.E.P.O』は、一見するとただの“荷物運びゲーム”に見えるかもしれません。ですが、実際にプレイしてみると、その印象は一変します。本作は、崩壊した施設や不気味な屋敷など、不穏な空間を舞台に、高価な物品を回収して脱出するという任務に挑む、協力型ホラーFPSです。最大6人までのオンラインマルチプレイに対応しており、VC(ボイスチャット)を使ったリアルタイムの連携も可能。物理演算によってアイテムにはしっかりと“重さ”があり、運搬には慎重な動作と仲間との連携が欠かせません。
もちろん、単なる荷物運びでは終わりません。施設内には、音や光、プレイヤーの動きに反応して襲いかかってくる謎の存在が徘徊しており、常に命の危険と隣り合わせ。スピードを優先するか、安全を重視するか、仲間との判断の違いがそのまま生死を分ける場面も珍しくありません。本作は、協力・戦略・恐怖、そして時に笑いまでも巻き起こす“カオスな体験”を見事に実現しています。
シンプルなコンセプトながら、毎回異なる展開がプレイヤーを待っており、繰り返し遊ぶだけの価値が十分にあるインディーゲームの良作です。

▶Steam公式ストアページ:
https://store.steampowered.com/app/3241660/REPO/
ゲーム紹介
『R.E.P.O』は、semiworkが開発したインディータイトルで、2025年2月にSteamにてアーリーアクセスとしてリリースされました。ジャンルは「協力型ホラー」×「物理シミュレーション」という異色の組み合わせで、プレイヤーは“Repo作業員”として、さまざまな施設から壊れ物や重量物を搬出する任務に挑みます。
本作の大きな特徴は、すべてのオブジェクトにリアルな物理演算が適用されている点です。荷物は傾いたり滑ったりするため、ただ運ぶだけでも一苦労。自然とプレイヤー同士の連携が求められるゲーム設計になっています。
最大6人まで参加できるオンラインマルチプレイでは、VC(ボイスチャット)を活用することで、より臨場感のあるプレイが可能です。加えて、声の距離によって音量が変化する“プロキシミティチャット”も導入されており、「声が聞こえる」「聞こえない」といった状況までもがゲーム体験の一部として組み込まれています。
マップや目標にはランダム性があり、毎回異なる展開が楽しめる構成。敵となるモンスターは音や光に敏感で、不用意な行動は命取りになります。また、2人以上で運ばなければならない荷物も存在するため、「誰がどこを持つか」「敵が来た場合どう動くか」といったリアルタイムの戦略性も求められます。
ホラー演出はあるものの、ジャンプスケアは控えめ。むしろ、パニックになった仲間とのやり取りや、想定外のハプニングから生まれる“笑い”こそが本作の魅力といえるでしょう。アクションの腕前よりも、協調性や判断力が重視されるゲームバランスとなっており、普段アクションゲームが苦手な人でも楽しめる作品に仕上がっています。

プレイ感想
『R.E.P.O』を実際にプレイしてまず感じたのは、「驚くほど単純な行動に、しっかりとした深みがある」という点でした。プレイヤーのやることは基本的に“物を運ぶ”だけ。にもかかわらず、その過程で発生する予期せぬハプニングや、チームとの連携ミス、そして突如訪れる恐怖演出が絶妙に絡み合い、毎回新鮮な体験が味わえるのです。
特に印象的だったのは、壊れやすくて重いオブジェクトを複数人で慎重に運ぶ場面。息を合わせて運ばなければすぐに事故が起こり、荷物が壊れたり落としたりとドタバタに。まるで引っ越し作業のようなやり取りに、モンスターの存在が加わることで、一気に緊張感が高まります。
中でも盛り上がったのが、運搬中に敵が接近し、誰かが思わず叫んで荷物を落とし、それをきっかけに全員がパニック状態で逃げ出したシーンです。VC(ボイスチャット)を使っていたため、仲間のリアルな叫び声が混乱をさらにかき立て、もはやホラーというより“ホラーコメディ”のような盛り上がり方をしました。
失敗しても重すぎるペナルティはなく、笑いながら気軽に再挑戦できる点も非常に好印象。さらに、ステージ構成や敵の動きにはランダム要素があるため、何度プレイしても新たな発見があります。短時間でも十分に盛り上がれるうえ、何度も繰り返し遊びたくなる、不思議な中毒性を持った作品だと感じました。

ホラーが苦手で放置していたのですが、
友達と一緒にやると全然怖くないですし
ドハマりしてしまいました。
気になった点
『R.E.P.O』は非常に魅力的なゲームですが、実際にプレイしてみて、いくつか気になる点もありました。その中でも特に大きいのが「日本語に対応していない」という点です。
チュートリアルやUI、アイテムの説明など、すべてが英語表記のため、英語に不慣れなプレイヤーにとっては、序盤の理解に苦労する場面があるかもしれません。操作自体は比較的直感的で、慣れてしまえば問題なくプレイできますが、細かな仕様やちょっとしたコツ、Tipsの理解にはある程度の英語力が求められます。

一応MODをいれれば日本語対応しますが
基本は入れずにプレイすることをおすすめします。
また、本作は物理演算が大きな魅力である一方で、そのぶん挙動の不安定さが目立つ場面もあります。荷物を持ち上げた際に意図しない方向へ滑っていったり、壁や障害物に引っかかって動けなくなったりといった現象が発生し、場合によってはそのまま荷物が破損してゲームオーバーになることもあり、理不尽に感じるケースも少なくありません。
さらに、アーリーアクセス版ということもあり、マッチング時の不具合や同期ズレといった技術的な問題も一部で確認されました。今後のアップデートによる改善が期待されるものの、現時点ではプレイに支障をきたすレベルのバグがまれに発生する点には注意が必要です。
さらに、本作には“時間の経過”という概念が存在しないため、プレイヤーが先に倒されてしまうと、味方に蘇生してもらうか、ゲームオーバーやミッション完了まで待機することになります。状況によっては数十分もの間、何もできずに待たされるケースもあるため、この点には注意が必要です。
また、もうひとつ気をつけたいのが、ソロプレイでは本作の魅力が大きく損なわれてしまうという点です。一応ひとりでもプレイは可能ですが、多くの運搬作業は2人以上で行うことを前提としたバランスになっており、敵への対応も含めてチームワークが重要です。そのため、野良マッチやフレンドと一緒に遊べる環境がない場合、ゲーム体験としてはやや物足りなく感じるかもしれません。
さらに、複数人プレイであれば蘇生が可能ですが、ソロでは倒された時点で即ゲームオーバーとなるため、難易度も格段に上がります。本作はやはり、仲間と協力しながらワイワイ楽しむスタイルが真価を発揮する作品と言えるでしょう。
おすすめ対象
『R.E.P.O』は、フレンドとの協力プレイが好きな方や、ホラー演出とコミカルなドタバタ要素が入り混じったゲーム体験を楽しみたい方に、特におすすめできるタイトルです。リアルな物理演算によって生まれる運搬のもどかしさや、モンスターとの遭遇によるパニックは、チームプレイならではの盛り上がりを演出します。ボイスチャット(VC)を活用できる環境があれば、その面白さはさらに倍増するでしょう。単なる“怖いだけ”のホラーではなく、恐怖と笑いが巧みに織り交ぜられている点が、本作最大の魅力です。
また、本作は配信映えにも優れており、ストリーマーや実況プレイヤーにとっても最適な一本と言えます。プレイヤーが叫び声を上げたり、思わずアイテムを壊してしまったり、敵から逃げながら無様に転んだりと、視聴者が笑える瞬間が自然と生まれます。仲間との連携ミスやドタバタのやり取りなど、SNSやYouTubeで“映える”シーンが多く、コンテンツとしての魅力も十分です。
ただし、ソロプレイを重視する方や、ストーリー性を求めるプレイヤーにはやや物足りなさを感じるかもしれません。VCなしでも遊べますが、このゲームの真価はプレイヤー同士のやり取りや連携にこそあります。そのため、会話を交えながらの協力プレイを楽しめる方に、より強くおすすめしたい作品です。
総評
『R.E.P.O』は、「ただ物を運ぶだけで、なぜここまで盛り上がるのか?」という驚きを与えてくれる作品です。インディーゲームならではの発想力と、それをしっかり形にした完成度の高さが際立っています。
リアルな物理挙動によって生まれる不安定な運搬体験を、仲間と協力して乗り越えることで、単なるゲームを超えた“共体験”が味わえるのが本作の大きな魅力です。敵のプレッシャーに耐えつつ、仲間の足を引っ張らないように慎重に荷物を運び切ったときの達成感は、数ある協力型ゲームの中でも屈指の手応えといえるでしょう。
ホラー演出も過度ではなく、ジャンプスケアに頼りきっていない点も高く評価できます。恐怖による緊張感の中に、コミカルなやり取りや思わぬハプニングが加わることで、常に“スリルと笑い”が同居する、稀有なバランスが保たれています。特にフレンドと一緒にプレイすれば、爆笑必至の“騒がしくも楽しいホラー体験”が待っていることでしょう。
もちろん、アーリーアクセスゆえのバグや調整不足、日本語非対応といった課題は存在します。しかし、それらを補って余りある魅力がこの作品には詰まっています。開発の積極性や頻繁なアップデートからは、今後の進化にも大きな期待が持てます。
インディーゲームの枠を超えた独創性と中毒性を兼ね備えた『R.E.P.O』は、「ただ怖いだけじゃない」、笑って叫んで盛り上がれる“体験共有型ホラー”の新たな定番となる可能性を秘めた一本です。
総合評価:★★★★☆(4.5/5)
※本記事内のスクリーンショットは『R.E.P.O』より自分でプレイして撮影したものです。© semiwork